犬だワン・健康クラブ

犬の読み物 > 約束(題はinuda1)  kennyさん、ありがとうございます。


アメリカの聖アンタニ病院のロビーには、犬を讃えた青銅の飾り板が取りつ けられています。

シェパードのシェプは、イリノイ州の小さな村でマクマーンさんと二人で暮らしていました。

幸せな日々が一転したのは、1924年。
マクマーンさんが、階段から転落してしまいました。駆けつけた近所の人に 病院へ運ばれ、手術室に通じるエレベーターの前でようやく意識を取り戻し ました。
マクマーンさんは、心配そうについてこようとするシェプに「シェプ、 お前はここで待っていなさい」そう言って、エレベーターの中に消えました。

けれどそのまま二度と戻ってきませんでした。
それでもシェプは、ご主人の言いつけ通り、エレベーターの前で待ち続けま した。
「シェプ、家へお帰り。ご主人はもういないんだよ」
誰が何といっても、エレベーターの扉を見つめて、動こうとはしませんでした。

病院にいついてしまったシャプは、みんなから可愛がられ、患者と中庭で遊 ぶようになりました。
でもエレベーターの開く音がする度に、シッポを振ってエレベーターの前へ 駆けて行きました。そのたびに期待は裏切られましたが、決して待つことを 止めませんでした。

1936年、シェプは病院の前で車にひかれ亡くなりました。
「ここで待っていなさい」
ご主人と約束したときから12年の歳月が流れた、 暑い夏でした。
「ジェフ、やっとご主人に会えるね。」
みんな口々にそう言いました。

ひたすら約束を守ったシェプへの、神様のご褒美だったのかもしれません。

ジェフの純粋な思い、せつなさがこみ上げてきますね。
ありがとうございました。

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