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犬の読み物 > 痴呆で旅立った子 (五郎の父 さん、ありがとうございました) |
五郎ちゃん、君が旅立ってから半年が過ぎました。 去年の今頃は八甲田の雪原をウサギや狐、狸の足跡を追いかけて どこまでも歩きましたね。 その後、お父さんが入院で2週間留守にしたことが、君には 寂しかったのかな。 8月に神奈川からマーちゃんが来て、君が居ないって泣いてたよ。 一緒にお墓を山の家に作ったからね。蛍といっぱい飛んでたよ。 お星様になった君には見えてたよね。 年の割には若く見える君が、突然の発作に襲われたのは7月16日 (土)の早朝4時頃でした。リビングから大きな音がしてお父さん とお母さんが君に近づいたとき、口からよだれを垂らして手足を 痙攣させていました。体をさすって顔を拭いたりして痙攣は収まりました。 多分、脳に異常が発生したのでしょう。 それから半日ごとに発作をおこし、顔から表情が消えていきま した。 散歩も16日は階段の上り下りが少しおかしい程度でしたが、 ぐるぐる旋回するようになりました。 徘徊が始まり、部屋の隅に頭を突っ込んで動けなくなり、 抑揚の無い鳴き声で泣き続けておりましたね。 元気な頃は無かったお漏らしのため、新聞紙とおしっこシート 、オシメの生活が始まりました。 ダンボウル箱を数個使ったサークルを用意して、その中での 生活が始まりました。 頭を床に着くくらい下がり、中をぐるぐる回り、疲れると倒れ るように眠っていました。 目が見えなくなり、耳も聞こえないようで、全てに反応しなく なりました。 君の記憶はシャボン玉の様に一つ一つはじけて、家族の事もわ からないようですね。 餌も食べなくなり、牛乳を飲ませても吐き出します。 水も自分では飲めず、抱えながら口元に容器を近づけて飲んで おりました。 一時、食欲がもどりハムとチーズは食べるようになり、排泄も 出来るようになりましたが、 足の弱り方は日を追って激しくなり、壁伝いで歩くのが精一杯 のでしたね。 抱いて近くの公園へ行くのが散歩スタイルになり、26日頃に は立つことも出来なくなり、餌も受け付けなくなりました。 安楽死か自然死の選択しかなく、自然死を選択しましたが、早 く楽にしてやった方が良いのかと迷いました。 29日、体を拭いてやり、いつも使用しているドッグベットで 寝返りをさせてやり、我々も寝ました。 30日早朝、苦しむ事も無く安らかな寝顔で旅立ちました。 15日間の痴呆との戦いは終わりました。体重は元気な頃の半 分まで肋骨が浮いて見えるようです。 たった15日での別れは早すぎるよ。 7月31日、彼を火葬しました。火葬場の釜に入れる時はこれで 彼を見る最後と思うと涙が止まりませんでした。 名前は五郎、日本犬のミックス、享年14歳。 夢の中でも良いから、また一緒に散歩がしたい。 他のワンちゃんと喧嘩しないで、虹の橋で待ってね。 必ず五郎ちゃんに逢いに行くからね。 五郎ちゃん有り難う、君が居てお父さんは幸せだった。 君と一緒にいた14年間ほど充実した時は無かっただろう。 だから、君の居ない今が寂しい。 |